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ニュース&イベント: 雇用/労働法/福利厚生関連情報

イリノイ州の雇用主が採用選考過程で求職者に対して給与歴を尋ねることは、2019年9月29日付で禁止に

8.14.19

これまで長年にわたり、雇用主は、就職志望者が記入する就職申込書を見て、その給与歴を知ることができ、面接の過程でも当然のように給与に関する質問をしてきた。雇用主が、人材の採用選考で、就職志望者の現在または過去の賃金・給与を考慮基準とすることを禁じる州が増えている。このたび、イリノイ州でも同様に禁止条項が適用されることになる。2019年7月31日に、イリノイ州知事JB プリツカーは、2003年イリノイ州男女同一賃金法(Illinois Equal Pay Act of 2003)(「IEPA」)を修正するための下院第824法案に署名した。

現在IEPAは、雇用主が、特定の制限された状況は例外としても、同等の努力と責任を要する労働条件の下で、同じまたは実質的に同様の職務を担当する従業員に対して、その性別により差別し、一方に他方よりも少ない割合で賃金を支払うことを禁じている。本修正により、職務に関する基準が「同等の努力と責任」から「実質的に同様の努力と責任」に変更される。

イリノイ州の立法者、すなわち議員らは、従業員の採用選考において過去の給与額を考慮し続ける限り、賃金不平等の永続が否めないことを認識し、雇用主が就職志望者の給与歴を尋ねるのを禁じた。そして、従業員がその賃金・諸手当・他の報酬に関する情報を開示したり、または話したりしないように、雇用主が従業員のそのような行為を妨げるために合意書に署名させるのも違法とすることによって、IEPAによる保護を強化した。

したがって、雇用主は、(1) 就職志望者が(現在⁄過去に)受け取っていた給与額が、採用時に雇用主が申し出る最低給与額または最高給与額に相応するものか尋ねたり、あるいは(2) かかる面接、採用の申出または採用条件として給与歴の開示を義務づけたりすることはできなくなる。ただし、就職志望者の給与歴が公記録となっている場合、または従業員が、その現在の雇用主が設ける地位への新たな配属を希望する場合、前述の制約は適用されない。

本修正は、雇用主に対して、賃金・諸手当・報酬関連情報を就職志望者に提供したり、または就職志望者が賃金・諸手当などについて期待する事柄を話し合ったりすることを禁じるものではない。さらに、就職志望者が「促されることなく、自分から進んで」現在または過去の給与額について話す場合は、雇用主がIEPAに違反したことにはならない。ただし、雇用主は、そのように就職志望者が自ら話した給与額を、採用もしくは雇用条件の決定要因として考慮したり、またはそれに依拠したりすべきではない。

本改正IEPAの下、採用選考過程において給与歴の検討を禁ずる本法に雇用主が違反した場合、就職志望者または従業員は違反時から5年以内に民事訴訟を提起する権利を有している。本改正法は、雇用主が本法に違反した場合、従業員は10,000ドルを超えない金額の特別損害賠償、差止命令による救済および合理的弁護士料金・費用の支払を受領できると定めている。

雇用主は、本改正IEPAによる必要要件に従っていることを確認するために、従業員の採用手順および書式を検討すべきである。さらに、雇用主は、採用過程に携わる職員を教育し、担当職員が就職志望者の給与歴を尋ねてはいけないことを理解し、もし就職志望者が自主的にそのような情報を提供した場合にはどう対処すべきか心得ているように、準備しておくべきである。

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