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ニュース&イベント: 雇用/労働法/福利厚生関連情報

【2020年】カリフォルニア州における新たな雇用関連法 -同州所在の雇用主への影響

1.28.20

概要

カリフォルニア州では、今年から数々の雇用関連法が新たに施行されました。中でも下記の5つの法律は、カリフォルニア州に所在する雇用主にとって非常に重要となります。下記法律は、特に明記がない限り、2020年1月1日から施行されました。

差別/ハラスメント/報復に関する申立ての出訴期限が3年に延長(AB9)

カリフォルニア州法である公正雇用住宅法により、カリフォルニア州の従業員が職場で発生した差別、ハラスメントまたは報復に関して裁判所に申立てを行うことができる出訴期限が、従来の「当該違反行為が発生してから1年以内」から「当該違反行為が発生してから3年以内」に延長されました。

  • 雇用主のためのチェックポイント:雇用主においては、関連する書類や情報が最低でも3年間は保存されるよう、既存の社内書類保存ポリシーや手順を見直し、必要に応じて修正を加えることをお勧めいたします。

州提供の家族看護のための有給休暇期間が、6週間から8週間に延長(SB83)

カリフォルニア州が運営する家族・看護有給休暇プログラムは、病気の子供、配偶者、両親、祖父母、兄弟、あるいは家庭内パートナーの看護をするためであったり、または子供が生まれてから、もしくは養子を迎えてから1年以内に子供と過ごす時間を確保するためであったりを理由に休暇を取る従業員に対して、何らかの賃金サポートを提供するプログラムです。この度制定された新たな法律により、2020年7月1日から、従業員による当該休暇の取得可能期間が、従来の「6週間」から「8週間」に延長されます。

  • 雇用主のためのチェックポイント:現行の法律でも既に義務付けられている通り、雇用主は、州が定める家族・看護有給休暇についての通知またはパンフレットなどを、雇用開始時やその他適切とされる時点で従業員に案内すべきです。また、当該休暇の取得可能期間の延長に伴い、休暇に関する既存の社内規則にそれを反映させるための修正作業も必要となるかもしれません。

髪型に基づく差別の禁止(SB 188)

カリフォルニア州は、生まれつきの髪質や髪型に基づく人種差別を禁止する法律を米国で初めて施行しました。既存の法律では、人種など特定の保護グループ(法律で保護されている性質・特質)を基にした雇用差別が既に禁止されていますが、今回の新たな法律では「人種」の定義が拡大され、「髪質や法律で保護されるべき髪型」なども含め、歴史的に見て「人種」と結び付きがある「特徴」も加えられることになりました。これは、従業員や求職者の髪型を理由に採用を見送ったり、解雇・昇進を撤回したりするなどの雇用上の差別が禁止されることを意味しています。

  • 雇用主のためのチェックポイント:一見中立的なポリシーであっても、当該新法に違反している可能性があります。雇用主においては、職場での服装規制やみだしなみに関するポリシーを今一度見直されることをお勧めいたします。

搾乳用設備の提供義務

カリフォルニア州の雇用主に対し、従業員のために以下の条件を満たす搾乳用設備を提供することが新たに義務付けられました。

  • 搾乳スペースが個室であること。
  • バスルーム(お手洗い)内ではないこと。
  • 該当従業員の作業スペースから近いこと。
  • 安全かつ清潔で、有害物が無いこと。
  • 座る場所があり、搾乳機および私物を置く場所があること。
  • 搾乳機を作動させるための電気または代替的装置が利用可能な環境であること。

さらに、雇用主は、該当する従業員の作業スペース付近に水道水の利用が可能な流し台と冷蔵庫を完備しなくてはならないほか、職場での搾乳に関するポリシーを作成し、雇用開始時または問い合わせがあった際に、従業員にそれを提示することも義務付けられています。雇用主が搾乳のための休憩時間や搾乳スペースの提供を拒否した場合、休憩に関する法に違反したとして、1日$100ドルの罰金が科せられます。なお、従業員数が50人未満の雇用主においては、上記のような設備の提供義務が雇用主に不当な負担を課すものであると証明出来る場合に限り、当該法律の適用から除外されます。

  • 雇用主のためのチェックポイント:雇用主においては、搾乳に関するポリシーを見直し、適切な修正を加えることを推奨します。

セクハラに関するトレーニング実施期限が2021年1月1日に延長(SB 778)

従来の法律では、従業員数が5人以上の雇用主に対し、2020年1月1日までに、スーパーバイザーの立場にある従業員向けに少なくとも2時間のセクハラ防止トレーニング、それ以外の従業員には1時間のセクハラ防止トレーニングをそれぞれ実施することが義務付けられていました。この度、新たな法律により、セクハラ防止トレーニングの実施期限が「2021年1月1日」まで延長されました。ちなみに、2019年中に既にトレーニングを実施した雇用主においては、その後2年間は当該トレーニングを実施する必要はありません。

  • 雇用主のためのチェックポイント:2021年1月1日のトレーニング実施期限に着実に遵守するため、2020年末までに全従業員へのトレーニングを実施完了するように進めて下さい。その場合、時間的に十分な余裕を持ってトレーニング実施計画を立てる一方で、 適格なトレーナー(講師)を探すことが重要となります。

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