2024年12月初頭に、米国と中国は、革新的な半導体製品と人工知能(AI)の市場に対する規制を今後も継続することをそれぞれ表明しました。バイデン政権は新たな輸出規制を発表しました。これらの輸出規制が目的とするところは、ハイエンド・マイクロチップの製造、またはAIの開発もしくはトレーニングに必要な生産技術・設備を、中国が取得するのを防ぐことです。複数の国において、140以上の企業が、それらの技術へのアクセスを制限されており、現在、厳しく輸出が規制される機器のカテゴリーが増加しています。一方で、中国は、ガリウム、ゲルマニウムおよびアンチモンの米国向け輸出を禁止すると発表しました。これらのレアアースは、ハイテク部品や難燃剤の製造に利用されています。
さらに最近では、今年11月に、台湾のTSMC(世界有数のマイクロチップ・メーカー)は、ファーウェイのプロセッサー内にTSMCのチップが搭載されていたことが判明したことを受け、中国へのチップの出荷を停止しました。また、オランダ政府と日本政府は、米国の輸出規制に歩調を合わせて、2023年夏から製造設備に対する大幅な制限を行うことを発表しており、半導体製造に対する制限はますます厳しくなっています。
ハイテク製品の製造または供給に従事する事業主は、ますます規制が厳しくなりつつあるグローバルな環境に留意する必要があります。これらの制限によって、特定の顧客向けの販売が困難となったり、特定のサプライヤーによる重要な部品の生産や供給に支障が生じる可能性もあります。当面の間、事業主は、現行の事業運営や契約上の義務について評価する際に、それが中国との間の「戦略商品(strategic goods)」の販売または購入に関わるものであるか否かを事前に検討することが賢明といえるでしょう。この「戦略商品」には、軍事物資だけではなく、ハイテク製品や部品の構成要素も含まれてきています。
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