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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

米国証券法の改正規則-日本企業の米国子会社のファイナンス活動にプラスの影響を及ぼす可能性

4.6.21

概要
 

2020年8月26日、米国証券取引委員会(SEC)は、米国証券法の下で「適格投資家(accredited investor)」および「適格機関購入者(qualified institutional buyer: QIB)」の定義を拡大するための最終改正規則を採択し、この改正規則は2020年12月8日に発効しました。これらの定義は、発行者が登録手続をすることなくプライベート・キャピタル・マーケットに参加するための資格に関連するものです。この定義の拡大は、従来、外部からのデット・ファイナンスやエクイティ・ファイナンスではなくグループ会社間の借入や出資により事業運営資金の調達を行ってきた、日本企業の中小規模の米国子会社のファイナンス活動にプラスの影響を及ぼす可能性があります。

適格投資家の定義が新たに拡大され、(証券業界で広く取得されているライセンスも含む)一定の専門資格を有する個人およびプライベート・ファンドの「知識を有する従業員」(たとえば、経営責任者(executive officers)、取締役(directors)、ジェネラル・パートナー(general partners)など)も適格投資家に含まれることになりました。さらに、適格機関購入者の定義も拡大されたため、一定の投資アドバイザーおよび投資会社、500万ドルを超える総資産を有する有限責任会社(リミテッド・ライアビリティー・カンパニー)ならびに500万ドルを超える投資を所有する全ての他のエンティティも適格投資家とみなされます。

本改正によって、日本企業の中小規模の米国子会社は、転換社債や優先株式を発行することにより外部から資金を調達する機会を得ることができる可能性があり、これにより親会社が拠出する必要がある資本を減らすことができる可能性があります。ただし、日本の親会社が米国子会社の最終的な支配権を失うことのないように、このようなファイナンスを適切に設計することが重要です。本改正のもとでのプライベート・キャピタル・マーケットでの資金調達の適切な活用は、日本の中小企業が、より少ない資本で、一定のリスク分散を実現しながら、米国子会社を設立・運営することを可能にするかもしれません。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。