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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

日米間の渡航およびビザ申請に関する考察

8.24.21
関連業務分野 移民法

概要


世界各国で新型コロナウイルスのワクチン接種が加速化するにつれて、世界の経済活動も徐々に再開してきました。しかし、日本人ビジネスマンが、米国に駐在するためにどのように米国の就労ビザを申請するのか、もしくは米国に出張するのか、または日本人以外の国民がどのように日本の就労ビザを申請するのか、もしくは日本に出張するのかという問題が残されています。

現時点で、日本の居住者が米国に入国する際は、国籍に関係なく全渡航者が米国到着の72時間前に一般必須要件として義務づけられる、新型コロナウイルス検査以外は、他の制限を課されることはありません。本必須要件は、米国市民も含む全渡航者に適用されます。米国では、ワクチン接種の証明、コロナ検査陰性結果の証明または隔離要件などを義務づけている州があるようですが、米国政府は、入国後の隔離・待機要件は設けていません。現在、米国政府は、いかなる形式の「ワクチン・パスポート」も認可していません。

日本政府は、現在も、日本国籍を持たない外国人の入国を制限しています。ただし、日本国民の配偶者や子供、特定の学生や研究者、および特定の帰国居住者は、事前にビザを申請し取得すれば、日本に入国することができます。日本政府は、現在、ビザの申請・取得をせずに所定の国から日本への渡航を許可するビザ免除協定(措置)の適用を停止しています。したがって、日本へ渡航するすべての外国人が、たとえ日本への入国資格を持つ場合であっても、日本国領事館でビザの申請をしなければなりません。日本への渡航者はすべて、国籍に拘わらず、次の要件を満たす必要があります。

  1. 渡航者は、日本へ出発する72時間前にコロナ検査を受け、その結果として陰性証明書を提示しなければならない。
  2. 渡航者は、日本の到着・入国時にコロナ検査を受け、日本における連絡先の情報を提出しなければならない。
  3. 渡航者は、入国後14日間自主隔離・待機しなければならず、その間は公共交通機関を利用してはならない。
  4. 入国前に、デルタ変異株の感染度が高い地域に居住していた渡航者は、上記に加え、検疫所が指定する宿泊施設で3日間自主隔離・待機しなければならず、かかる宿泊施設に到着してから3日後にコロナ検査を受けなければならない。この検査結果が陰性であった場合は、渡航者は、その後各自が選択する滞在地で待機義務を完了させることができる。

海外渡航には、困難が伴ったり、または渡航を不可能とする状況が生じたりするため、非米国市民にとって米国ビザの新規申請や更新が難しくなっています。現在、多くの米国大使館や領事館が依然として閉鎖されたままであり、ビザ申請の処理を停止または制限しています。幸いなことに、在日米国大使館と在大阪・神戸米国総領事館では、企業の駐在員または経営幹部として渡米計画のある日本人ビジネスマンのために、通常どおり業務を行っており、ビザ申請の受付けおよび処理を行っています。しかし、パンデミック対策における職場の人数制限や日本政府の要請による要件の影響を受けて、ビザ面接の予約確保が困難となる場合が少なくありません。現在、日本政府が海外から日本へ入国する者に対して前述の検疫条件を課しているため、米国大使館・領事館では、ビザ申請者がかかる14日間の検疫条件を満たしていることを証明しない限り、ビザ面接の予約を受け付けていません。

日本人申請者は、まず最初に申請したビザが、在日米国大使館・領事館で発給された場合は、かかるビザの更新を郵送で申請することができ、申請者が検疫による待機中であっても申請書類を郵送することができます。L-1ブランケット・ビザの申請を除いて、ほとんどの非移民ビザ申請を郵送により行うことが可能です。ただし、これまでに米国大使館・領事館でビザ申請の面接を受けたことがない申請者は、申請書類を郵送することができません。特に、以前にビザを取得したことがある申請者でも、当時14歳未満であった場合は面接を受ける必要がなかったため、郵送手続を行う資格は認められません。そのような場合、当該申請者は、米国大使館・領事館での面接が必要となるでしょう。ほとんどの場合、郵送により提出された更新申請は、前述の待機期間が終了するまでに認可され、ビザが発給されます。

申請者が日本へ渡航できない場合は、米国移民局でI-94 フォーム(出入国記録カード)の延長申請をすることができます。しかし残念ながら、かかる申請の処理期間は長引く傾向にあり、申請者本人の手続には平均4ヵ月、および扶養家族の手続には12ヵ月から14ヵ月要しています。なお、米国移民局で延長申請が処理されている間、申請者本人の労働許可は、240日間またはかかる申請の再審査が行われるまで延長されます。扶養家族は、申請の再審査が行われるまで米国に滞在することができます。一般的に、申請者が米国移民局による申請処理を待っている間は、米国外への渡航制限を受けることはなく、必要があれば米国を出ることも可能です。

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