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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

サイバー盗難の密かな新ターゲットになりつつある知的財産

11.8.21
関連業務分野 知的財産テクノロジー

近時、情報漏洩の急増に関するニュースが世間を騒がせていますが、サイバーインシデントや情報漏洩は、多くの企業にとって、ほとんど通過儀礼ともいえるほど、避けられないリスクとなってしまったように思われます。しかし、一般の人々がほとんど耳にすることなく見過ごしてしまいがちなものとして、知的財産(以下「IP」といいます)に対するサイバー窃盗が挙げられます。IPの盗難による影響を受けるのは、通常、それを通報する法的義務もなく、通報することでビジネス上の利点も得られない被害者だけであり、たとえば顧客の個人情報が漏洩した場合などのように、一般大衆が直接影響を受けることもありません。このように比較的顕在化しづらいにもかかわらず、IPを窃取するサイバー攻撃は、IPが企業にとって最も価値のある資産の一部であることが多いこともあり、被害者にとっては死活問題となる可能性があります。

企業のイノベーションと競争力の要となる占有情報の保護を目的とする法制度の下でさえ、重要な非公開のIP(ノウハウ、営業秘密、特許取得前の試作品、未登録著作権など)の多くが電子的に保存されているという現状に鑑みると、IPは、いまだにサイバー攻撃の影響を受けやすいと言えます。知的財産法に基づく権利は、侵害や不正利用による損害賠償を請求するための法的手段となりますが、まずはIPを窃盗や侵害から保護することが、貴社のIPの価値を最大化し、競争力を維持するための、最も、そしておそらく唯一の、効果的な手段と言えるでしょう。

IP資産を保有する企業は、自社の重要なIPをサイバー窃盗のリスクから保護するために、次のような対策を講じる必要があります。

  • 機密資産(情報)が社内システムのどこに保存されているかを確認し、セキュリティ・システムの脆弱性についてよく理解する。
  • 従業員が自社のIPの重要性を知り、機密情報の取り扱いを誤らないようにするために、セキュリティ対策について従業員を教育する。
  • 自社の機密データを真に知る必要のある従業員だけが同データを利用できるように、アクセスを制限する。
  • エンドツーエンドの暗号化を通じて情報の紛失を防止し管理するために、電子文書セキュリティ技術などの情報ガバナンス・ツールを活用する。
  • ビジネス取引における法的リスクを回避するために、取引の開始前に自社のプライバシー条件および秘密保持契約の全般的な内容について弁護士に相談する。
  • サイバー盗難のリスクや被害が発見された時点で直ちにIP保護に詳しい弁護士の助言を求め法的措置を取れるように、平時から準備をしておく。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。