Generative Artificial Intelligence(以下、「生成AI」という。)は、人工知能の中でも、既存のデータをもとに学習したことを踏まえて、テキストや画像などといった形で、新しいコンテンツを生成するものを一般的に指します。生成AIは、大量のデータを短時間に簡潔にまとめたうえで分析したり、リサーチを短時間で終えることができるなど、業務の効率化に役立つものとして、ビジネスの世界でも多く用いられ始めています。しかしながら、生成AIの使用は、さまざまなリスクも伴い、例えば、会社の機密情報が生成AIの使用の過程で意図せず漏洩してしまったり、生成されたテキストに含まれる誤った情報に気づかず、そのような誤った情報をそのまま流布してしまったり、さらには、第三者の知的財産を侵害したり、自らの知的財産の保護を失ってしまう可能性もあります。
これらの弊害に対処するため、生成AIの使用に関する社内規程を整備することは、検討に値します。例えば、社内規程により、生成AIの職務上の使用を禁止したり、適切に管理したうえで一定の使用を認めることが考えられます。もっとも、生成AIの使用を一切禁止することは選択肢の一つではあるものの、上記の通り、生成AIは、適切に使用することで、業務の効率化が図られるなどのメリットもあることから、それが必ずしも望ましい選択肢ではない場合もあります。その場合、生成AIの使用に関して、例えば以下のような内容を含む、適切な社内規程を整備することが考えられます。
- 使用が認められる生成AIツールおよび使用方法の特定
- 使用目的の限定
- 遵守事項や禁止事項
- 社内の管理体制の明確化
- 社内研修の実施
生成AIの技術やサービスの発展にともない、生成AIの使用に関する社内規程を整備したあとも、今後の法規制の変更や動向などに目を配り、必要に応じて継続的に改訂をする必要があります。
© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。