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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

デラウェア州法定信託(DST)と外国人投資家

7.2.25
関連業務分野 不動産

外国人投資家は、デラウェア州法定信託(Delaware statutory trust)(以下「DST」といいます)を投資手段として利用することで、米国に所在する商業用不動産の権利の取得または保持にあたって魅力的なメリットを享受することができます。

DSTは、その名称が示すとおり、デラウェア州の法律に基づいて設定された信託です。DSTのオーナーは、受益権(これは、たとえば、リミテッド・ライアビリティ・カンパニーのメンバーとしての権利(membership interests)とは対照的な権利です)を有することになります。DSTは、通常「署名受託者(Signatory Trustee)」と呼ばれる受託者によって管理されますが、州法を遵守するためにデラウェア州において別途法定の受託者を設置します。

DSTは、課税繰延を可能とする同種資産の交換 (like-kind exchanges) のための手段として広く知られ、利用されてきましたが、その用途はそれだけに限定されません。本稿では、DSTの課税繰延のメリットに加えて、米国不動産をポートフォリオに含めることを検討されている外国人投資家にとって、特に魅力的であるその他の利点についても解説します。

課税繰越

DSTを用いたスキームは、内国歳入法(Internal Revenue Code)第1031条に基づく同種資産の交換を円滑に行うために頻繁に利用されています。第1031条に基づき、商取引や事業目的で使用する、または投資目的で保有する不動産物件を売却する場合、当該物件を同種代替物件(like-kind Replacement Property、以下「交換物件」といいます)と交換することにより、売却に伴う税金の納付を繰り延べることができます。

投資家は、米国における複数の不動産会社(スポンサー)によって実施されるオファリングを通じて、DSTの権利を取得することができます。スポンサーは、交換物件を購入し、その購入資金の調達および交換物件の長期的な維持管理を手配します。それによって投資家は、交換物件の小口化された権利(fractional interests)を取得することができます。

このオファリングは、1933年米国証券法の登録要件の適用除外に基づき実施されるため、同法に基づく登録はなされません。

受動的な投資

不動産物件を日常的に管理することができない、または米国不動産物件を単独で購入する経済力や専門知識を持たない投資家は、DSTを用いたスキームを利用して、受動的な投資を行うことができます。上述のように、スポンサーがDSTと不動産物件を管理し、当該不動産物件の管理のための専門的なサービスを提供します。

また、投資家は受動的な立場にあり、DSTや不動産物件を管理していないため、通常、レンダーに対して個人的責任を負いません。

投資の質

DSTによって、投資家は米国不動産の小口化された権利を取得することができます。投資家は、他の投資家と共に資金を効果的にプールすることで、単独では購入できないような大規模で機関投資家向けの不動産物件を取得できるようになります。したがって、たとえば、投資家はクラスBやCのオフィスや多世帯住宅に投資する代わりに、クラスAの不動産物件の小口化された権利を、他の投資家と共同して取得できる可能性があります。

譲渡性

DSTにおける受益権は、DSTのレンダーに対して最小限の報告を行うことで、原則として譲渡することが可能です。

結論

DSTは、課税繰延を目的とした同種資産の交換のために広く利用されていますが、それに限らず他にも投資家にとって魅力的なメリットを提供しています。特に、米国商業用不動産への投資を検討している外国人投資家には、投資手段としてDSTを用いたスキームの調査と検討をされることをお勧めします。

フランク・アイケンラウブ弁護士は、増田・舟井法律事務所(シカゴオフィス)のプリンシパルです。不動産部門に所属しています。アイケンラウブ弁護士は、初めて行われたDSTオファリングを担当し、これまでのキャリアにおいてTIC(Tenant-in-Common)およびDST取引で多数のスポンサー、レンダーおよび投資家を代理してきました。

増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴデトロイトロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。

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