直近の米国連邦政府閉鎖に際して、移民関連の政府機関の一部は業務を継続した一方で、他の政府機関では、資金調達の方法に応じて手続きの遅延が生じました。来年1月に再び政府閉鎖が発生する可能性を踏まえ、雇用主と外国人労働者は同様の状況に備える必要があります。
前回閉鎖時の各機関の対応状況
- U.S. Citizenship and Immigration Services(米国市民権・移民局/USCIS): USCISは請願料、申請料およびその他の手数料によって運営資金が賄われているため、通常どおり業務を継続しました。ただし、E-Verify(電子雇用資格確認システム)、The EB-5 Immigrant Investor Regional Center Program(EB-5地域センター・プログラム)、Conrad 30 J-1 doctors(J-1ビザ保有医師向け母国滞在義務免除プログラム)およびNon-minister religious workers(非聖職者向け宗教従事者ビザプログラム)を含むプロジェクトは、その運営資金が連邦議会による歳出予算に依存しているため、一時停止またはその他の影響を受けました。
- Department of State (国務省/DOS) (在外米国大使館および在外米国領事館を含みます。): 申請料およびその他の手数料によって運営資金の大部分が賄われているビザおよびパスポート業務は、政府閉鎖期間も通常どおり運営されました。もっとも、特定の在外公館(大使館または領事館)において、その業務運営を賄うための手数料収入が不足した場合には、当該大使館または領事館の業務運営に影響が生じる可能性がありました。そのような事態に陥った場合、当該在外公館は一般的に外交ビザおよび「生命または死亡に関わる緊急事案(life or death emergencies)」の取り扱いを優先しました。
- Department of Labor (労働省/DOL): 外国労働認証局(The Office of Foreign Labor Certification)は、政府閉鎖期間中、申請の処理を停止しました。その結果、H-1BビザならびにEB-2およびEB-3グリーンカードに係る平均賃金決定(prevailing wage determination)およびPERM申請は処理されず、提出することもできませんでした。
- U.S. Customs and Border Protection (税関・国境警備局/CBP): CBPは不可欠な機関(essential agency)として、政府閉鎖期間中も業務を継続し、入国港は閉鎖されることなく引き続き検査および取締活動が行われていました。
事前の計画
再度政府機関が閉鎖された場合、特に労働省関連の申請手続きにおいて、同様の混乱が発生することが予想されます。雇用主および外国人労働者は、これらの申請手続きに関して事前に計画を立て、可能な限り早めに申請手続きを行い、移民法弁護士に相談して遅延の可能性を最小限に抑えることをお勧めします。
今後、政府閉鎖が発生する可能性を見据えた移民関連の計画立案に関してご質問がございましたら、増田・舟井法律事務所の弁護士までお気軽にお問い合わせください。
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