新型コロナウイルス(「Covid-19」)パンデミックが世界中で広がり続ける中、米国政府機関は、米国移民規則に影響を及ぼす対策を実施しています。本稿では、Covid-19の発生・拡散状況に対して米国政府機関が今日までに講じた暫定措置についてまとめました。
- 世界中の(日本も含む)多国の米国大使館や総領事館は、特定のビザ申請手続関連業務、特に非移民ビザ申請者の面接予約に要する業務を停止したことを発表しました。しかし、ビザの郵送(mail-in visa)申請を許可している領事館もあります。ですから、新たにビザ申請が必要な渡航希望者や米国に再入国するために新たにビザを必要とする渡航予定者は、ビザの郵送申請手続きを通じて、実際にそのような申請が可能かどうか、または資格条件に適っているかどうか確認することができます。一般的に、そのようなビザ郵送申請は、通常の申請手続きよりも長い時間を必要とします。そのため、申請者は、ビザ発給までの待機期間が通常よりも長引く可能性があることを予測する必要があります。在日米国大使館・領事館は、米国渡航希望者は、郵送申請をするには、実際に日本国内に在住していなければならないと注意を促しています。
- 2020年3月20日、米国移民局(「USCIS」)は2020年3月21日以降の日付で作成されたすべての非移民就労ビザ申請書式および関連書類を、直筆の署名がないものでも、一時的に受け付けると発表しました。この書式には、非移民就労者のための申請書(Form I-129, Petition for Nonimmigrant Worker)も含まれます。現在の国家非常事態が継続する間は、それらのオリジナル書式・関連文書などは、スキャン、ファックスまたはコピーされたものでも提出が可能です。この手続上の一時的変更は「署名」についてのみ適用されます。それ以外の書式を記入する際には、各書式の記入要領に従わなければなりせん。申請者は、USCISから提出を要求されたときに備えて、本人が実際に署名した(自筆署名)それらの書式や文書を保管しておかなければなりません。
- 2020年3月20日、USCISはForm I-129およびForm I-140のすべての申請手続きにおけるプレミアム申請処理(premium processing)を当面停止しました。これには、2021年度H-1Bキャップ(発給件数制限)対象の申請、前年度に提出済の申請および(更新や再申請など)キャップ免除の他のH-1B申請も含む、H-1Bビザを取得するための全申請手続きで処理されるプレミアム申請が含まれます。
- 2020年3月20日、国土安全保障省(DHS)はCOVID-19による非常事態対策としてテレコミューティング規則(telecommuting policy)を実施している雇用主に対しては、実際に従業員を目の前にして、身元を確認し、就労許可を取得していることを確かめ、就労資格証明書式(Form I-9, Employment Eligibility Verification)の記入を義務づけないと発表しました。ただし、雇用主は、遠隔地からでも同書式のSection 2を(ビデオリンク、ファックス、Eメールなどで)確認しなければなりません。そして、雇用主は、最終的に同書式のSection 2の記入を完了させるために、遠隔での確認後3営業日以内に実際の書式を受け取り、確認し、保管しなければなりません。雇用主は、USCISの臨時措置に従って他の必要手続きを済ませ、Form I-9の記入を完了させなければなりません。他の必要手続きについては、USCISのウェブサイト www.uscis.govをご覧ください。
- USCISは、当面の間、2020年3月18日から少なくとも2020年4月1日まで、移民局のアプリケーション・サポート・センター(「ASC」)も含む、全国の移民局指定オフィスで申請者が直接行う審査手続きを停止しています。今回、各地で閉鎖されている移民局指定オフィスの管轄にある申請者は、予約変更や市民権宣誓式などその目的により、USCIS当局から通知を受け取ります。USCISで再び通常の業務が開始されると、ASCでの予約も自動的に更新・調整され、申請者には、郵送で新たな予約日程が通知されます。
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