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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

米国政府の支援による給与保護プログラム(PPP)の増額資金に基づくローン申込みにおける注意点-日系企業にありがちなミスを回避するには

4.23.20

概要
 

米国政府は、給与保護プログラム(Paycheck Protection Program)(「PPP」)により提供されるローンを通じて、さらに米国の中小企業を支援するために追加資金を投じると発表しました。中小企業が実際にかかる追加資金を利用できるようにするための救済プログラムは、2020年4月24日、トランプ大統領による署名を経て施行されることとなりました。

当初PPPに投じられた3500億ドルの資金は、米国中小企業庁(Small Business Administration)(「SBA」)が当該ローン申込手続きを開始してから13日後には底をついてしまいました。PPPローンの申込み機会を前回逃してしまった中小企業の皆様方は、今回の支援増額によるローンの申込みに備えて、本稿でご説明するいくつかの注意事項を参考になさってください。最も重要な点は、申込みが早ければ早いほど、その分PPPローンによる融資を受けられる可能性が高くなるということです。

今回の支援増額によるPPPローンの申込みを望む日系の中小企業には、次の3つの手順を踏むことをお勧めいたします。

  1. 入念な下調べをして、準備する: PPPローンが承認される確率を高めるため、事業体は、申込みに必要な全部の書類と事業体/会社に関する最新情報を揃えてください。通常の場合、PPPローンには次の文書の提出が義務づけられます。
    • PPPローンの申込書(https://home.treasury.gov/system/files/136/Paycheck-Protection-Program-Application-3-30-2020-v3.pdf
    • 事業体の名称、住所および連絡先の情報
    • 過去12カ月間の損益計算書
    • 会社設立関連文書、または事業体が合法的に形成された法人であること、事業体の組織構造および所有権を示す詳細情報
    • 2019年納税申告書、(該当する場合は)過去2年間の納税申告書
    • 給与支払報告書(Payroll reports)および給与支払関連情報の詳細
    • モーゲージ・ローンまたはレント(家賃・賃料)を裏付ける書類
    • 水道光熱費の明細書
    • 事業体が現在、法人として有効に存続している(in good standing)ことを証明するもの
    • 新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより事業体がどれほどの損害を受けたかを説明する文書
  1. 規模がさほど大きくない金融機関で当該ローンを申し込むことを考慮する: 事業体に適した金融機関を慎重に選定してください。メディアでは、大手銀行はPPPローンの申込みにおいて、規模の大きい顧客を優先する傾向にあると報道しています。当増田・舟井法律事務所は多数の中小企業クライアントを支援していますが、大手金融業者が中小企業向けの貸付慣行をPPPローン・プログラムでうまく順応させることができなかったために、大手金融業者との取引で非常に苦労したクライアントは少なくありません。貴社がすでに、地方銀行など小規模な銀行と取引している場合、また信用組合と取引関係にある場合は、かかる銀行から本PPPローンを受けられる可能性のほうが高いことがあります。主にこのような理由から、中小企業が信用組合や地方銀行から融資を受けやすくなるように、今回の新法案によって、小規模金融機関に対して600億ドルの予算が確保されました。                                                                                                                             
  2. 金融機関(貸手)との間に信頼できる取引関係を築く: PPPローンの申込手続きの大部分は、オンラインで自動的に処理されますが、ローンを申し込む事業体は、金融機関(貸手)の代表者(理想としては、貸手側で本PPPローン申込手続きを直接担当している者)と直接連絡し合える取引関係を築いておくことが非常に重要となります。担当者の迷惑になってはいけませんが、ローンの申込みをした事業体は、申込手続きがスムーズに進められるように、貸手側で必要な情報や文書がすべて受け取られたことを確認し続けることをお勧めします。さらに、貸手がローンを申し込む事業体に対して、すでに同銀行でチェッキング口座や他の口座を開設していること、およびクレジットカードを利用していることを条件づける場合があります。そのような条件がある場合は、即時にかかる必要条件を満たすことができるように対処しておくべきです。

上記のPPPローンの申込み手続きには、まだ不確実な部分が残されていますが、ご説明した点を念頭に置きながら、申込み準備を進めることで、今回の追加予算によるローンを利用できる可能性が高まるでしょう。SBAローンを提供する金融機関のリストについては、SBAのウェブサイト(www.sba.gov)をご覧になるか、または本件に関して詳細情報をご希望の場合は、貴社の担当弁護士までご連絡ください。

本稿に関するご質問は、小林城治弁護士 (Email: GKobayashi@masudafunai.com)までお気軽にお問い合わせください。

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