Skip to Main Content
ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

ビザ、Form I-94、I-797およびステータス‐これらは何を意味するのか?

3.28.24
関連業務分野 移民法

非移民外国人(一時的に滞在する目的で米国に入国する個人)は、滞在資格(immigration status)から入国申請書類に至るまで、その全般でビザという言葉を頻繁に使います。しかし、ビザという言葉を特に意識せずに使い、Form I-94やForm I-797を指したり、または入国管理上の滞在資格に言及したりすることは誤りです。多くの場合、非移民外国人の米国における合法的な滞在を確立するために、これらの書類の組み合わせが非常に重要ですが、各書類はそれぞれ独立した書類であり、入国審査手続きにおいて異なる目的を有しています。各書類の異なる役割を理解することは、非移民外国人が常に違反のない適切な入国記録を維持できるようにする上で不可欠です。

滞在資格(Immigration Status)

自分の滞在資格について尋ねられ、その質問に対してどのように回答すべきか分からなかったことはあるでしょうか。非移民外国人にとっての滞在資格とは、一般的に、非移民外国人が最後に米国に入国した際の合法的な移民のカテゴリーや分類(L-1AやE-2など)を意味します。あるカテゴリーで米国に入国した外国人が、米国移民局(USCIS)に、別のカテゴリーへの変更を申請する場合があります。たとえば、F-1学生ビザで入国した人が、H-1B就労ビザに変更するかもしれません。非移民ビザには、20以上のカテゴリーがあります。各カテゴリーには、米国における滞在期間の制限など、特定の要件と制限があり、非移民カテゴリーごとに、許可される滞在期間は異なります。非移民外国人が所持するForm I-94(後述します)が失効しておらず、米国の滞在条件に違反がない限り、同外国人の米国での滞在資格は、依然として有効です。常に合法的な滞在資格を維持していることを確認することは、非移民外国人の責任です。滞在資格を維持できない場合は、深刻な問題が生じる可能性があります。

ビザ(Visa)

米国に入国したいと考える外国人は、まずは米国ビザを取得しなければなりません。ビザは、非移民外国人のパスポートにスタンプの形状で表示されます。¹ 非移民外国人は、米国ビザを取得したのち、港湾、空港または国境において米国への入国を求めることが可能になります。

米国税関・国境取締局(CBP:  U.S. Customs and Border Protection)は、非移民外国人の入国を許可すべきか否か、および米国に滞在できる期間を決定します。ビザの取得は米国への入国を保証するものではありませんが、米国大使館または国外領事館の領事官が、非移民外国人には特定の目的のために入国を求める資格があると決定したことを示しています。ビザは、発給日から満了日まで有効であり、非移民外国人はビザの有効期間内に米国へ渡航することができます。しかしながら、注目すべき重要な点は、ビザのスタンプは、渡航者に許可された米国滞在期間を示すものではないということです。

米国ビザが切れてしまう、またはすでに切れてしまったと慌てて当事務所に電話してくる方々がいらっしゃいます。ビザは、有効期限が切れしまっても、非移民外国人の米国の滞在資格に影響を与えるものではなく、単なる渡航文書にすぎません。以下で説明するように、非移民外国人が合法的に米国に入国した後で、その滞在を管理するのはForm I-94です。CBPは、非移民外国人に許可された滞在期間をForm I-94に記載します。たとえ非移民外国人が米国に滞在している間に、ビザの有効期限が切れてしまったとしても、非移民外国人は、当該滞在期間の間は米国に滞在することができます。ですから、パスポートに表示されたビザの有効期限が切れてしまっても、それが非移民外国人に影響を与えるのは、非移民外国人が米国外へ渡航した後に米国に再入国する場合に限られます。非移民外国人が米国に滞在している間にビザが切れてしまった場合は、同外国人が次に米国外へ渡航し、米国に再入国するためには、米国外にいる間に新たなビザを申請し、取得しなければなりません。

パスポートに表示されたビザがまだ有効であっても、そのパスポートの有効期限が切れてしまった場合についての質問を受けることがよくあります。ビザがまだ有効で、新旧のパスポートが同じ国で発行されたものであれば、渡航者は、それら2つのパスポートを所持していれば米国に入国することができます。そのような場合、渡航者は、まだ有効なビザを示す旧パスポートと渡航者の身元を確認できる新たなパスポートの両方をCBPに提示することになります。

以下の米国国務省(DOS)とCBPが公表している米国ビザのサンプルをご覧ください。ビザに記入された様々な項目や注釈に関する説明が表示されています。ビザが新たに発行された後は、当該ビザに記載された情報が正確であることを確認することが重要です。情報に誤りがある場合、ビザ保持者は直ちに大使館(領事館)に連絡し、訂正を求めるべきです。

Form I-94 出入国記録

CBPは、非移民外国人がビザを取得して米国に入国したか、あるいはVWP/ESTA(ビザ免除プログラム)によりビザを取得することなく入国したか否かにかかわらず、米国に入国した非移民外国人に対してForm I-94(出入国記録)を電子的に発行します。非移民外国人は、米国外の渡航先から米国に戻った後には毎回、CBPのウェブサイト(https://i94.cbp.dhs.gov/I94/#/home)でForm I-94のコピーをダウンロードし、そこに記載された情報が正確であることを確認すべきです。そして、もし情報に誤りがある場合は、すぐにForm I-94の訂正を求める必要があります。

Form I-94は、米国における個人の滞在を管理するものであり(つまり、ビザとはその目的が異なります)、滞在資格を維持するには、有効期限を厳守しなければなりません。非移民外国人は、有効な滞在資格を維持するために、Form I-94に記載された満了日もしくはその前に米国から出国するか、またはそれ以前にUSCISに滞在資格の延長または変更を申請しなければなりません。Form I-94の有効期限が切れると、その個人の米国滞在資格は無効となり、すなわち移民法違反とみなされ、国外追放を命じられたり、または将来入国を拒否されたりする可能性があります。

H-1および従来のL-1非移民ビザの場合は、非移民外国人に許可された滞在期間、すなわちForm I-94の満了日は、ビザの有効期限にかかわらず、同者のForm I-797の有効期限と一致しなければなりません。Eビザ保持者の場合、ビザの有効期限にかかわらず、米国に入国するたびに2年間の滞在資格を得ます。L-1ブランケットビザ所持者が入国した際は、ビザ(スタンプ)に記入された請願書有効期限(PED: Petition Expiration Date)までの滞在期間が認められる可能性が高いです。なお、非移民外国人が入国した後、6ヶ月以内にパスポートの有効期限が切れる場合、許可された滞在期間がパスポートの有効期限に合わせて短縮される場合がありますのでご注意ください。

さらに非移民外国人は、政府機関が給付・発行する社会保障番号や運転免許証などの申請をする際に、合法的な米国の滞在資格を証明することが義務づけられるためForm I-94を提示する必要があります。

以下のCBPが発行したForm I-94のサンプルをご覧ください。また、どのように個人のForm I-94にアクセスし、印刷するのかについての説明は、こちらのリンク(https://i94.cbp.dhs.gov/I94/I94-EN.pdf)からアクセスすることができます。

Form I-797 承認通知書(Approval Notice)

USCISは、米国でステータスを変更または延長している個人に対しては、Form I-797 「承認通知書」とともにForm I-94を発行します。²

Form I-797の上部には、雇用主と非移民外国人の名称、非移民ビザ・カテゴリーおよび承認通知書の有効期間が記載されます。同じ書式の下部は、Form I-94からなるので、非移民外国人は、この部分を切り離して、パスポートに添付しなければなりません。個人は、Form I-797 「承認通知書」をパスポートと一緒に所持し、米国に再入国するときCBPに提示しなければなりません。

USCISからForm I-94が発行されると、非移民外国人の新たな情報は、CBPのForm I-94検索システムでも、自動的に更新されると思い違いをしている方がよくいらっしゃいます。USCISとCBPの2つのシステムは連動していないため、USCISがForm I-94を発行しても、その情報が、CBPのForm I-94検索サイトでは更新・表示されないことにご注意ください。

USCISから発行されたForm I-94は、個人が米国国外に渡航し、再入国時に、CBPが電子書式の新たなForm I-94を発行するとそれに取って代わられます。その後、個人に許可された滞在期間は、CBPが発行したForm I-94か、Form I-797に表示された、いずれか早い時期に満了する有効期限まで管理されます。

Form I-797の下部に添付されているForm I-94の有効期限に10日間の猶予期間が設けられている場合がありますが、個人は、この期間に米国内で労働に従事することはできません。この猶予期間は、個人が米国を離れるか、合法的ステータスを延長、変更または維持できるように、合理的な時間を提供することを目的としています。

以下のForm I-797(下部にForm I-94を含む)のサンプルをご覧ください。

まとめると、米国ビザは渡航文書であり、Form I-94は非移民外国人の米国滞在期間を管理し、そして米国での滞在期間の延長または資格変更を求める場合、Form I-797に新たなForm I-94が添付されます。複雑ではありますが、これらの文書の相互関係を理解することは、すべての非移民外国人が米国で合法的な滞在を維持するために重要です


¹ ほとんどのカナダ国民は、米国に渡航する際のビザの取得が免除されます。ビザ免除プログラム(VWP)による電子渡航認証システム(ESTA)の要件を満たしていれば、他の外国人渡航者のビザ取得も免除されます。VWPの詳細については、リンク(link)をご覧ください。

² Form I-797は、請願に基づくビザ・カテゴリーに関して、海外に居住する個人に対しても発行されます。海外居住者に発行されるForm I-797にはForm I-94は含まれません。非移民ビザ申請者は、Form I-797を米国大使館または領事館に提示し、該当するビザ・カテゴリーの米国ビザを申請します。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。