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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

企業透明性法が不動産に与える影響

9.30.24
関連業務分野 不動産

連邦議会は、2021年に企業透明性法(Corporate Transparency Act)(以下「CTA」といいます。)を制定し、同法は、2024年1月1日に施行されました。CTAは、米国で事業を行うために設立または登録された国内外の事業体(同法により「報告会社(reporting company)」と定義されています。)に対し、適用除外事由に該当しない限り、米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(Financial Crimes Enforcement Network)(FinCEN)に会社および一定の所有者に関する情報を報告および開示することを義務付けています。CTAの目的は、テロリズム、電信詐欺、マネーロンダリングなどの金融犯罪に対抗することです。

CTAが総合的に不動産取引に与える影響は依然として確定していませんが、不動産売買に際して明らかに留意すべき点があります。たとえば、不動産の購入者の中には、不動産の取得のみを目的として、匿名性を維持するために「単一資産主体(single-asset entities)」の形態をとるものもいます。購入者がCTAによる「報告事業体(reporting entity)」であると判断された場合、米国政府と他の金融機関との間の匿名性が低下することがあります。通常、一般の人々は、CTAに基づいて開示された情報を入手することはできません。

もう1つの留意点として、CTAにより生じるレンダーの懸念が不動産取引の買主と売主の両者に影響を及ぼす点が挙げられます。すなわち、買主(すなわち、借主)は、融資の手続が迅速かつ確実に完了するように、CTAを遵守しなければなりません。さもなければ、特定の取引のデュー・デリジェンス期間が延長される可能性が生じ、それによりさらに遅延が生じ、両当事者が負担する費用が増加する可能性も生じます。レンダーは、融資の実行を約束する前に、借主に対してCTAの遵守を義務づける可能性があります。

だたし、上記にかかわらず、CTAによる実質的所有者情報の報告義務には数々の適用除外事由があります。CTAの報告義務または適用除外事由についてご疑問がございましたら、当事務所の弁護士までご連絡ください。

増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴデトロイトロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。

© 2024 Masuda, Funai, Eifert & Mitchell, Ltd. All rights reserved. 本書は、特定の事実や状況に関する法務アドバイスまたは法的見解に代わるものではありません。本書に含まれる内容は、情報の提供を目的としたものです。かかる情報を利用なさる場合は、弁護士にご相談の上、アドバイスに従ってください。本書は、広告物とみなされることもあります。