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ニュース&イベント: クライアント・アドバイザリー

TPS取得者のI-9フォームを記入するうえで留意すべき煩雑な手続き

9.30.24
関連業務分野 移民法

Form I-9(就労資格証明書)の記入は複雑なプロセスであるため、米国の多数の雇用主が頭を抱えています。同書式を記入する際には、異なる移民カテゴリーごとに適用される例外事項や特別規則を考慮する必要があり、非常に煩雑です。一時的保護資格(TPS: Temporary Protected Status)は、まさにそのようなカテゴリーのひとつで、米国国土安全保障省(DHS: U.S. Department of Homeland Security)によるTPSプログラムの実施方法が原因で多くの混乱が生じています。

DHSは、内戦、自然災害、伝染病等、特定の外国で生じた状況により、かかる外国の国民が一時的に安全に母国に帰国できない場合は、同外国をTPS対象国に指定することができます。すでに米国に滞在しているかかる外国人(適格者)は、適法に米国に留まることを許可するTPSを申請することができます。現在、TPSの対象として指定されている国は16ヵ国あり、そのリストはこちらのリンクでご覧になれます。

TPSによる滞在ステータスを維持するTPS取得者は、米国で働くことが認められており、同取得者には有効期限が記載された労働許可証(EAD: Employment Authorization Document)が発行されます。一般的に、有効なEADを保持するTPS取得者のForm I-9を記入するのは容易ですが、かかるEADの有効期限が切れていたり、または間もなく切れる場合は、Form I-9の記入が複雑になってきます。多くの場合、TPS取得者は、雇用主に対して、申請中のEADの延長について口頭で通知しますが、関連する追加情報や書類の提出は行いません。従業員がForm I-9の確認に必要な文書を提示しない場合、ほとんどの雇用主は、まずそれを理由にかかる従業員を解雇します。実際のところTPS取得者のEADは、自動的に延長される可能性もありますが、雇用主は、I-9規則を遵守するために、延長に関する情報についてさらにフォローアップを要するかもしれません。

従業員のForm I-9を確認する際に有効期限の切れたEADを提示された場合、雇用主は注意が必要です。EADは、特定のカテゴリーにおいては、自動的に延長されます。これらの特定のカテゴリーに関する情報は、こちらのリンクでご覧になれます。TPSは、自動延長の対象となるEADのカテゴリー・リスト(具体的には、EADに関して注記のあるA12およびC19カテゴリー)に含まれています。TPSを対象としたEADは、連邦官報通知(Federal Register notice)により、または自動延長について記載された米国移民局(USCIS)による通知の受領により、自動的に延長されることがあります。延長に関する情報は、USCISのTPS関連ウェブサイトの該当国のページに掲載されています。残念ながら、USCISのウェブサイトは必ずしも使いやすいとはいえず、必要な情報を得るまでにひと手間かかる場合があります。

注意すべき重要な点は、有効期限が切れているEADを提示する従業員が、EADは自動的に延長されていると主張する場合、雇用主は、EADに関してTPSの注記があるカテゴリーおよびその関連情報を慎重に検討すべきであるということです。従業員のEADがTPSを対象としている場合、雇用主は、それが自動的に延長されており、Form I-9の記入には影響がないことを確認しておくべきです。EADの有効期限が切れたことを理由に従業員の解雇または個人の不採用を決定すれば、それが差別的な雇用慣行とみなされることがあります。

Form I-9およびTPS取得者を対象としたForm I-9の記入方法に関して、さらに情報をご希望の場合は、お気軽に当事務所の移民法担当弁護士までご連絡ください。

増田・舟井法律事務所は、米国でビジネスを展開する日本企業の代理を主な業務とする総合法律事務所です。
当事務所は、シカゴデトロイトロサンゼルス、およびシャンバーグに拠点を有しています。

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