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対米外国投資委員会(CFIUS)、特定の重要技術がかかわる取引における義務的申告要件を大幅に改正する最終実施規則を発表

9.28.20

概要
 

米国財務省投資安全保障局(Office of Investment Security, Department of Treasury)は、2020年9月11日付で、重要な技術(critical technologies)がかかわる特定の対米外国投資取引に関して2020年2月13日に発効した義務的申告要件を大幅に改正、修正および変更する最終規則を発表しました。この最終規則は2020年10月15日に発効します。

本稿では、要件の変更点を概説し、最新の事例を取り上げるとともに、取引が対象取引であるか否か、また義務的申告が必要とされるか否かを判断するための更新版決定木(デシジョンツリー)を共有します。ご質問等ございましたら、貴社の担当弁護士までお気軽にお問い合わせください。

CFIUS規則の背景と今後の変更点

今年初め、米国財務省投資安全保障局は、2020年2月13日発効の最終規則(「2月の規則」)を公表しました。これにより、2018年外国投資リスク審査現代化法(Foreign Investment Risk Review Modernization Act)(「FIRRMA」)が施行される運びとなりました。FIRRMAは、1950年国防生産法(Defense Production Act)(「DPA」)第721条を修正し、「対象取引(covered transaction)」の定義を大幅に拡大するとともに、対米外国投資委員会(Committee of Foreign Investment in the United States)(「CFIUS」)の審査権限も拡大し、これまで含まれていなかったその他の取引についてもCFIUSが審査できるようにしました。2月の規則の詳細と解説については、こちらをクリックしてください。

2月の規則では、「TID 米国事業(TID U.S. business)」 (重要な技術を1件または複数件、生産、設計、試験、製造、加工、または開発する米国事業)が関与する特定の取引における義務的申告要件が規定され、取引が次のいずれかに該当する場合には、義務的届出の対象になるとされました。

  • オーストラリア、カナダ、および英国以外のある一国の中央政府または地方政府が相当な持分(substantial interest)を保有する外国人1が、TID米国事業の相当な持分を取得する結果となる対象取引
  • 航空機製造および一次電池製造産業といった、行政規則集第31巻第800部(31 C.F.R. part 800)の別紙B(「別紙B」)で CFIUS が列挙する特定の産業での使用に限定して (i) 利用される、または (ii) 設計される重要な技術を1件または複数件、生産、設計、試験、製造、加工または開発しているTID米国事業への対象投資

この度発表された新たな規則(「10月の規則」)は、別紙Bを削除する代わりに、輸出、再輸出、または移転に関して米国政府の特定の許可が必要か否かに重きを置くことで、2月の規則で規定されていた義務的申告要件を変更するものです。すなわち、2020年10月15日以降、義務的届出の対象となる取引は次の通りとなります。

  • オーストラリア、カナダ、および英国以外のある一国の中央政府または地方政府が相当な持分を保有する外国人が、TID米国事業の相当な持分を取得する結果となる対象取引
  • 一定の者への輸出、再輸出、移転(国内)または再移転に際し、米規制当局からの承認を必要とする重要な技術を1件または複数件、生産、設計、試験、製造、加工、または開発するTID米国事業が関係する対象取引。一定の者とは、(1)対象取引の結果として、かかるTID米国事業を直接的に支配できる者、(2)かかるTID米国事業への対象投資により直接的に持分を取得する者、(3)かかるTID米国事業に直接投資しており、TID米国事業に関してかかる者が保持する権利が変化することで、結果的に対象取引または対象投資となる可能性がある者、(4)DPAの適用を回避したり、またはそれから逃れたりするために策定もしくは計画された取引、合意、または取り決めの当事者である者、または(5)(1)〜(4)に記載された外国人において、以下に説明するように、特定の議決権を個人で保有しているか、あるいは全体として保有する外国人グループの一員である者を意味します。

義務的申告について検討する際、取引当事者においてはまず、米国企業の重要な技術を直接取得者またはかかる直接取得者における議決権の25%以上を保有する者(直接・間接を問わない)に対して輸出すると仮定した場合に、米規制当局の承認が必要とされるか否かを判断する必要があります。こうした25%基準は、事業体が主にマネージングパートナー(managing partner)、マネージングメンバー(managing member)、またはそれに相当する役職者により直接運営されているか、またはこれらの立場にある者のために運営されている場合、ゼネラルパートナー(general partner)、マネージングメンバー、またはそれに相当する者における持分にも適用されます。ちなみに、義務的申告の目的上、ある者が別の者に対して間接的に保有する議決権の割合を決定する際、親会社が保有するいかなる持分も、子会社たる事業体における100%とみなされることは特筆すべき点です。

10月の規則は、「米規制当局の承認」を次の通り定義しています。

  • 国際武器取引規則(International Traffic in Arm Regulations)(「ITAR」)に基づく国務省(Department of State)の許可またはその他の承認
  • 輸出管理規則(Export Administration Regulation)(「EAR」)に基づく商務省(Department of Commerce)の許可
  • 特定の規則に基づくエネルギー省(Department of Energy)の個別許可または一般許可
  • 特定の規則に基づく原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission)の個別許可

10月の規則は、Section800.401に基づき、義務的届出要件について適用除外の条項を設けており、輸出、再輸出、または移転の観点から、重要な技術および外国人のそれぞれがEARの下で一定の適用対象外とされている場合には、義務的申告の対象とはならないとしています。

最後に、10月の規則では、ゼネラルパートナー、マネージングメンバー、またはそれに相当する役職者を有する事業体に関して、「相当な持分」の定義を明確化するための修正が加えられました。事業活動が主にゼネラルパートナー、マネージングメンバーまたはそれに相当する者により指示、支配、あるいは調整されるか、またはそれらの者の利益のために事業活動が指示、支配、あるいは調整される事業体である場合には、外国の中央政府または地方政府がゼネラルパートナー、マネージングメンバー、またはそれに相当する役職者の49%以上の持分を保有しているのであれば、かかる外国の中央政府または地方政府は、当該事業体における相当の持分を保有しているものとみなされます。

事例分析

外国法人のA社は、その主たる事業所を日本国東京都に有する日本企業です。中国籍の外国人がA社の議決権株式の25%を保有しています。A社は、イリノイ州シャンバーグの企業Y社の持分を100%取得します。Y社は、米国で州際通商に従事し、EARの規制対象となっている重要な技術を製造しています。当該重要な技術を中国に輸出するには、EARの下での許可が必要ですが、日本への輸出には許可は必要ありません。

質問 1: 外国法人のA社の買収はTID米国事業の買収とみなされますか?

回答: はい。Y社は、重要な技術を製造していることから、TID 米国事業です。

質問 2: これは対象取引になりますか?

回答: はい。Y社はTID米国事業です。外国法人のA社が、Y社の持分を100%取得する結果、米国事業の外国支配が発生します。

質問 3: 義務的申告の提出は必要になりますか?

回答: はい。Y社は、EARの規制対象となっている重要な技術を製造しています。EARは、重要な技術の対日輸出については許可の取得を義務付けていませんが、対中輸出については許可の取得を義務付けています。直接取得者である外国法人A社は日本法人ですが、中国国籍者が外国法人A社における議決権の25%を保有していること、また重要な技術の対中輸出にはEARの下で輸出許可の取得が義務付けられていることから、買収の申告は必須となります。

対象取引および義務的申告を分析するための更新版決定木(デシジョンツリー)は、こちらからご覧ください。


1 「外国人」とは、外国市民、外国政府もしくは外国企業、またはそのいずれかにより支配される事業体を意味します。

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