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「メイド・イン・アメリカ (Made in America)」大統領令、外国企業の対米直接投資を促進する可能性

3.4.21

概要
 

2021年1月25日、バイデン大統領は、「米国の全労働者が製造する全米国製品に、より確実な未来を築くための大統領命令」(「本大統領令」)を出しました。米政府の行政機関は「米国で・・・・・生産される物品、製品、材料を最大限に利用するために、連邦政府の財政支援金配分および調達に関する条件を適用すべきである」という政策を執ると宣言しました。本大統領令により、外国企業(ベンダー)の意欲が駆り立てられ、米政府を相手に取引きを行ったり、または米政府の資金援助を求めたりすることで、対米直接投資が増加する可能性があります。

大統領令第3条により、すべての米政府機関は、直ちに、メイド・イン・アメリカ政策に矛盾する政府機関の措置を洗い直し、廃止や撤回も検討し、メイド・イン・アメリカ政策を促進・実施する新たな措置を提案することが義務づけられます。

本大統領令第4条に基づいて、行政管理予算局内にメイド・イン・アメリカ対策事務局が新設されました。本条で、本事務局は、米政府機関から出される各種メイド・イン・アメリカ法の適用免除の申請に関して、その体系化と調整を行うと定められています。米政府機関でメイド・イン・アメリカ法の遵守義務からの免除が認可される場合は、かかる免除に関する情報がより明確(transparent)かつ統一性のあるものでなければならないこと、また同時に、かかる免除はおそらく容易に認可されるものではないことも本条項は示唆しています。

今後は、本大統領令第5条に従って、メイド・イン・アメリカ法の遵守義務の免除に関する要因のひとつであるコスト優位性が、これまでと異なる見解から検討されることになります。本大統領令により、外国で購入される製品については、そのコスト優位性を分析し、いかなるコスト優位性についても「独禁法に触れる鋼材(鉄鋼・鉄)もしくは工業製品の使用、または不当な助成金を受けた鋼材(鉄鋼・鉄)もしくは工業製品の使用」に大きく依存しているか否かを判断しなければなりません。

本大統領令第6条は、米政府機関でメイド・イン・アメリカ法の遵守義務の免除が申請された際に、明確な情報を開示(transparency)できるように、かかる免除申請に関するすべての情報を掲示し、一般公開するためのウェブサイトの設置を規定しています。このような公開プロセスには、米国の生産者/製造業者、購入者(米政府機関も含む)および/または外国販売業者などが申請した免除が認可され、その情報が開示された場合に、(かかる外国販売業者などの)米国競争会社やメイド・イン・アメリカ法を支持する他の企業などの反感を煽るねらいがあるように思えます。さらに、本大統領令は、米国の供給者がメイド・イン・アメリカ法の免除申請をうまく交わせるように、連邦政府の調達ニーズに合致する商品、製品および材料を生産する米国企業の奮起を促しています。(大統領令第7条参照)

また、かかる調達製品などの米国産含有成分検査を付加価値検査に置き換え、米国産含有成分の条件数値を上げ、国産の最終製品および建設資材に対する価格選好(price preference)を高めるために、本大統領令は、連邦調達規則審議会(Federal Acquisition Regulatory Council 、「FAR審議会」)に対して、1933年米国バイ・アメリカン法(U.S. Buy American Act)の適用規則の改正を考慮することを提案し、同法の運用強化を目指しています。 (大統領令第8条参照)

最後に、本大統領令は、FAR審議会に対し、商用品目である情報技術に関して拡張されているメイド・イン・アメリカ法の運用に対する制限を解くための勧告事項を策定するよう指示しています。

本大統領令は、発令後180日以内に、それ以降は隔年ごとに、各米政府機関に対して今後どのようにメイド・イン・アメリカ政策を推し進めていくか報告することを要求しています。

バイデン現政権は、本大統領令を出すことで、メイド・イン・アメリカ法の要件と政策に関しては、前政権の政策を今後も継続・拡張・強化していく意向を示しています。米国では現在、建築費の急増、 工業用地の需要の増大、および用地選択とデュー・デリジェンスの必要性や買収プロジェクト・スケジュールの緊急性の増大が見られ、今後も引き続きそのような傾向が見られる可能性があります。そのため、米政府の補助対象となる供給品の販売または米国での直接調達販売の維持や成長を目標とする外国の販売・製造業者および生産者には、将来を見据えて的確に、米国における今後の生産とサプライチェーンの拡大について今から計画を立て始めることをお勧めします。

本稿に関してご質問などございましたら、キース・グロービー弁護士までお気軽にご連絡ください。

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